自己多血小板血漿(PRP)治療について
はじめに患者様ご自身から採血をさせて頂きます。本治療は採取した血液から多血小板血漿(PRP: Platelet Rich Plasma)を精製抽出したものを用いて行う再生医療による治療です。患者様ご自身の血液を用いるため、拒絶反応が起きる可能性は極めて低いと考えられており、採血と注射のみで終わりますので、患者様の体への負担は少なくて済みます。
当院は、再生医療等の安全性確保に関する法律第40条第1項の規約に則って厚生労働省へ特定細胞加工物製造届出を行い、細胞培養加工施設としての認可(細胞培養加工施設番号 FC3180116)を受けており、同法に則って再生医療等提供計画(計画番号:PB3180100)の認可を得ております。
- 当院では、TriCeLL PRP分離・濃縮キットを用いて治療いたします。TriCeLL PRP分離・濃縮キットは臨床使用可能な高度管理医療機器(クラスIII)として厚生労働省より製造販売承認を受けています。
多血小板血漿(PRP)治療とは?
• 血液の中には、傷を治す働きを持つ「血小板」という成分があります。
この血小板を高濃度に濃縮し活性化させたものがPRP: Platelet Rich Plasma(多血小板血漿)です。
• PRPには組織修復を促す多様な成長因子、炎症を抑える物質が含まれていて、細胞の成長を促進する力があります。
• このPRPの力が、人の本来持っている治癒能力や組織修復能力、再生能力を引き出して、傷んだ関節軟骨や靭帯などの治癒を促すと考えられています。
対象疾患
• 変形性関節症:肩・肘・手関節・股関節・膝関節・足関節
• スポーツ傷害
肘:上腕上顆炎に伴う関節内病変
膝:半月板損傷および靭帯損傷・軟骨損傷・滑膜ひだ傷害
四肢関節の軟骨損傷
適応基準
- 重篤な合併症(全身・局所)を有していない方
- 文書による同意取得が可能な方
- この治療について十分な理解が得られている方
- 貧血の臨床所見がない方
除外基準
- 担癌状態にある方
- 抗癌剤もしくは免疫抑制剤を使用している方
- 明らかに感染を有する方
- 発熱(38.5℃以上)を伴う方
- 1ヶ月以内に当療法を受けたことのある方
- 薬剤過敏症の既往歴を有する方
- その他、担当医が不適当と判断した方
- 18歳以下の方
再生医療等の流れ
- 患者様の血液を30ml~32ml採取します。
- 遠心分離機に2回かけてPRP:(多血小板血漿)のみを取り出します。
- PRPを患部へ注入します。
- 当クリニックの診察室および処置室は細胞培養加工施設として認可を得ているため、血液を凍結・解凍などはせず、加工直後に患部に注入しております。
- 月・火・水・金・土の午前・午後(土は午前のみ)にそれぞれ1名の方に行います(予約制)。治療の前に医師による診察が必要です。
- 費用(自費):PRP注射1関節:採血30−32ml/PRP4ml 80,000円(税抜き価格です)
- 料金には診察料、採血・注射施術量、PRP精製技術料、精製キット他諸材料費が含まれます。
他の治療法との比較
- 筋肉や腱などの治療にはアイシングや湿布、抗炎症薬の内服などの保存療法により、多くの場合は痛みが改善しますが、痛みが続く場合などはヒアルロン酸やステロイド注射、リハビリテーションなども行われています。また、痛みが強く改善しない際は、手術治療も行なわれています。
- 変形性関節症などにはヒアルロン酸注入がありますが、ヒアルロン酸は関節腔内から3日で消失します。この様な場合PRP治療は、おおむね1〜3、4回の治療で、6~12ヶ月効果が持続すると言われています。
今までの治療法とこの治療法により予期される効果及び副作用等の比較
通常は薬で症状が改善しない場合は、より強い薬に変えることがありました。しかし強い薬は胃腸を悪くすることがあり、また他にも副作用や合併症が出て薬の投与を中止しなくてはいけなくなることがありました。
海外では、このPRP注射直後にかなり機能の改善と痛みの減少がみられたとの報告もあります。当院でも治療するうえで効果的かつ安全な方法であると考えております。治療効果や効果の持続期間は個人差がありますのでご了承下さい。
また、人によっては患部に痛みが出ることもありますし、痛みが長引くことも考えられます。注射後は痛みが和らぐまでは、安静にしてください。なお、患者様はこの再生医療での治療を受けることを拒否すること、又は同意を撤回することにより不利益な取扱いは一切受けないので、ご安心ください。
こちらの再生医療等を受ける患者様の個人情報の保護に関する事項は遵守いたします。
治療後の注意点
- 注射後 3~4日は、腫れやかゆみ、赤みや痛みが出るなどがありますが、その後自然に消失していきます。
- PRPは注射後程度は様々ですが一次的に炎症を引き起こします。そのため関節可動域が低下しないように注射後はリハビリテーションが必要です。リハビリテーションは注射翌日より1ヵ月間、可動域をみながら頻度を調整して行っています。
- 投与後、数日間は血流の良くなる活動(長時間の入浴、運動など)を行うことで、治療に伴う痛みが強くなることがありますが、治療効果に差はありません。治療直後よりストレッチなどの軽いトレーニングは行ってください。
- 関節は細菌に弱いので、清潔に保つよう心掛けて下さい。
- 治療当日は飲酒や入浴をお控えください。